ひいくんのあるく町
(C)水口屋フィルム
甲府盆地の南・市川大門。その町並みをヘルメット姿の少 年のような風変わりなおじさんがひょこたんと歩く。彼は町の人々の手伝いを して、”ひいくん”と愛称され温かく受け入れられている。いつも、当たり前の ように町があり、人がいた。しかし、いつしか町はシャッターが目立つように なった。お気に入りの電気屋「水口屋テレビ」の店主・青柳正輝さんは病気で 倒れ、店を閉めた。写真好きの正輝さんが撮影した膨大な数の写真には、この 町の活気ある姿が確かな形で写っていた。華やかだった町の風景、盛り上がる 祭り…。今、町はゆるやかに静まってゆくが、我らが人気者のひいくんは この町を今日も朗らかに歩き続ける。