一茶
(C)2017「一茶」製作委員会
稀代の俳諧師、小林一茶。牧歌的な人物として語られがちな彼の生涯は、孤独と苦悩に満ちたものだった。継母さつとの折り合いが悪く、家に居場所がなかった一茶は江戸へ奉公に出される。どこの奉公先でも長続きしない一茶だったが、やがて俳句の世界に独自の感性を表現する術を見出し、俳諧師となる。しかし、能力を認められる一方で、耽美な表現を評価する当時の俳諧において一茶の句は田舎俳諧と揶揄され、彼の生活は貧しいものだった。やがて父・弥五兵衛が逝去、その遺言を巡って一茶は自らの家族と争うことになる。確執を遺しながらも故郷に戻って家庭を持った一茶だったが、若い妻・菊と幼い子に相次いで先立たれてしまう。だが深い失意の中でも尚、一茶は自らの性分に突き動かされ、句を詠み続けるのであった……。