はるねこ
(C)haruneko_movie
折に触れて、といっても木々がのべつまくなし語るのをやめるほんの短い期間、それも客の来ない明るい昼下がりなんかだけだとしても、店長はつい想像する、ばーは自分と一緒に死ぬためにここへ来たのではないか、と。ここでまことと出会ったというがあれは嘘じゃないか。あらかじめ父と言い交わした約束があって待っていた、とか。
だから父のすぐあとにやってきた姉と弟、あの幼い弟のはるについ自分を重ねてしまう。
父を森へいざなったことの自分への言い訳だろうか。すべては仕組まれたことと考えれば世の中少しは生きやすくなる。けれどそういうごまかしが通じないのがこの森であることを、店長自身が誰より知っていもする。