夜はいじわる

(C)KADOKAWA 1961
鰹節問屋“土佐久”ののれんは、代々女でもっているといわれても仕方がなかった。現在の社長梅二郎は婿養子で、会長である祖母のてつが実権を握っている。孫娘の桂子も美人だが祖母に似て勝気である。妹の節子は銀行員の小沢と恋愛中だが、姉より先に結婚するのはいけないとてつに言われて悩んでいる。そんなある日、土佐久にとって一大事が起きた。明日中に三百万円を振りこんでもらわないと銀行が取引きを停止するというのだ。梅二郎が、鰹節にとっては敵である科学調味料「味の一番」という新会社へ、土佐久の定期預金を担保に投資し、その会社の専務におさまっていたのである。梅二郎の初の反抗であった。

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