千年の愉楽
(C)2012 若松プロダクション
紀州の路地に生を受け、女たちに圧倒的な愉楽を与えながら、命の火を燃やし尽くして死んでゆく、美しい中本の男たち。その血の真の尊さを知っているのは、彼らの誕生から死までを見つめ続けた路地の産婆・オリュウノオパだけである。年老いたオリュウの胸に、この路地でもがき命を溢れさせて死んでいった美しい男たちの物語が甦る―。
己の美しさを呪うように、女たちの愉楽の海に沈んでいった半蔵。火を噴くように生きていたいと切望し、刹那の炎に己の命を焼き尽くした三好。路地から旅立ち、北の地で立ち上がろうともがいて叩き潰された達男。
うたかたの現世で、生きて死んでいく人間を、路地の人間の生き死にを見つめ続けたオリュウの声なき祈りが、時空を越えて路地の上を流れてゆく―。