今昔伝奇 剣地獄
深い森の中。怒りをたぎらせた形相の男が身を潜めていた。くる日もくる日も、男は旅の侍を襲っては巾着には目もくれず剣のみを集めていた。そして、集めた剣を森のそこかしこに隠し置いていた。男が真に狙っていたのは白装束の駕籠の一行。それは、亡き父の無念を晴らすための仇討の相手。ひとりで多勢に立ち向かう必要があるため、この森に潜み、相手を待ち伏せながら周到な準備を続けていたのだった。すると、ついに家老を乗せた駕籠の一行が現われた。男はこの時とばかり、剣を手に白装束の一団に挑みかかっていくのだった……。