ウォーター･ホース

美しい森と湖に囲まれたスコットランドの村。第二次世界大戦中、少年アンガスは戦地へ行った父親の帰りを、ただひたすら待っていた。ある日、アンガスはネス湖で青く光る不思議な卵を見つける。その卵からは、これまでに見たことがない生き物が生まれてきた。アンガスにすぐになつき、“クルーソー”と名付けた。成長したクルーソーは屋敷の中を駆け回り、最初は姉に次はモーブリーに見つかってしまう。2人には秘密にしてもらうアンガス。モーブリーが言うには、クルーソーはケルト人の古い伝説に出てくる“ウォーター・ホース”だという。この世に一匹しか存在しない、世界一珍しくて、世界一孤独な生き物なのである。大きくなったウォーター・ホースは、アンガスを背中に乗せて、湖中を自由自在に泳ぎ出す。水中の魚や海藻の美しさ、難破船の宝物に胸躍らせ、彼は初めて、心から楽しそうに笑うのだった。クルーソーとアンガスは、言葉が通じなくても、信頼と深い愛情で、しっかりと結ばれていた。