8月のクリスマス
(C)2005「8月のクリスマス」製作委員会
町の写真館、鈴木写真スタジオ。鈴木寿俊は父親からこの写真館を譲り受け、仕事を楽しんでいた。ある日、近所の小学校の臨時教員である由紀子が写真館に訪ねてきた。急いで写真の現像を依頼したのだ。それから、由紀子はたびたび写真館を訪れ、寿俊と話をするようになるのだった。ある日、学生時代からの親友、宮田亮二を誘って、居酒屋へ出かけるが、すっかり酔った寿俊は、冗談のように、自分が病気でじきに死ぬという話をした。由紀子と遊園地へ出かけた帰り、寿俊はお気に入りの場所に彼女を案内する。高台の石階段に腰掛けて、広がる街並みを見る二人。「雪が降ると静かでいい」、と言う寿俊に、「今度の冬にまた来よう」と答える由紀子。夜になって、寿俊は様態が急変し病院へ運び込まれる。入院をしたことも知らずに、毎日写真館を訪れる由紀子。いつまで経っても戻らない寿俊に宛てて手紙を扉に挟み込むのだった。置き去りの手紙を持ち帰ろうとするが、手紙は写真館の中へ。由紀子は、新しい小学校へ新任教師として赴任する。夏が終わりを告げる頃、寿俊は退院してきた。机の上に置かれた郵便物の中には、由紀子からの手紙があった。寿俊は、由紀子へ手紙を書くが、それは投函されずに小箱の中に大切な写真とともにしまい込まれた。身なりを整え、寿俊はスタジオで自分の写真を撮る。妹の純子が、写真館の整理をしていて手紙を見つけ、由紀子の元に手紙を出した。その手紙を読む由紀子。様々な感情が押し寄せて床に座り込んでしまう。冬。写真館にはクリスマスの飾り付けがされている。ポインセチアの鉢を持った由紀子が、久しぶりに写真館へやって来る。ショーウィンドウには、寿俊が撮影した由紀子の写真が飾られてあった。微笑を浮かべながら、由紀子は写真館を後にするのだった。