香港国際警察 NEW POLICE STORY
無条件に、文句なく面白い。数多いジャッキー・チェン作品の中の最高傑作といってもいい。ジャッキーの映画といえば、最大の売り物は、彼自身による多彩なカンフー・アクションで、そこにコミカルな要素をふんだんに取り入れ、まるで華麗なダンスのような動きを見せるところにある。他の追随を許さぬその動きはまさに圧巻で、彼の映画の最大の売り物でもあった。しかし、その売り物にさらに価値を高めようと、様々な趣向を取り入れていった結果、アクションは素晴らしいが、映画としてより重要なストーリー・テリングの面が、残念ながらおろそかになってしまったきらいがあった。ジャッキーの映画は、どれも同じなどといわれだしたのもこの頃から。その彼も50歳を越える歳になると、かつての若さに任せた力ずくのアクションが、少々無理になってきた。歳相応に、演技力で新たな自分をアピールすることに方向を転じた今作は、アクションもこれまでよりはちょっと控えめで、しかし随所にジャッキーらしさは十分に見せた上で、なお、しっかりしたストーリーライン、構成、状況設定を構築しての、見事なアクション娯楽大作として完成した。これまでのジャッキー作品にはもう飽きた、と思っている人も、この作品を見れば、また新たなジャッキーの魅力に新鮮な驚きを感じることだろう。円熟とは、この映画のジャッキーのような状況を言うのに最もふさわしい言葉だと思う。必見の作品。