ヘブン･アンド･アース

唐王朝の最盛期、紀元700年頃。異民族との戦いが繰り広げられ、領土拡大を続けていた。しかし、最大の敵は強大な勢力を誇るトルコ系北方遊牧族民族国家･突厥。ある時、突厥の侵略に備える西域警備の最前線の町、拓厥関に遣唐使として中国に渡って来た日本人、来栖旅人がやってきた。彼は唐の武術を学び、今では政治犯や反逆者を討伐する皇帝直属の刺客となっていた。そんな彼に、25年ぶりの日本への帰国許可が下りた。しかし、長安までの身辺警護を依頼された司令官の娘、文珠を連れ、その地を後にしようとしていた矢先、来栖に皇帝から最後の命令が届く。それは、突厥の女性や子供たちの処刑命令に背いて5人の部下と共に逆賊となった元軍人、李の殺害だった。李と彼の部下たちはシルクロードで隊商の護衛を請負いながら逃亡生活を続けていた。李は部下たちに、家族を持って平安に暮らすように言うと、自分は１人で馬に乗り砂漠へと去っていった…。数年後、インドの仏教聖地、天竺から、唐の皇帝へ献上する10万冊の仏教経典を運ぶ数十頭のラクダと数十人の僧侶の大キャラバンが、唐の騎馬軍団に護衛されながらシルクロードを一路、長安へと出発した。しかし、キャラバンは砂漠地帯で巨大な砂嵐に襲われ、壊滅的な被害を被ってしまう。ラクダと荷物は無事だったが、生き残った人間は若き僧侶、覚慧と唐の護衛兵がただ1人だけだった。同じ頃、砂漠を放浪していた李もまた砂嵐に巻き込まれ瀕死の重傷を負っていた。李は覚慧と護衛兵に命を救われ、長安までの護衛をかってでるのだった。李はキャラバンをオアシスの村、西葛海に連れて行った。彼はそこでかつての部下たちと再会する。そして、その村に来栖がやってくるのだった。