密愛
出版社を経営する夫、小学生の娘スジンの3人家族で平凡で穏やかな幸せに満ちた暮らしをする主婦ミフン、30才。クリスマス・イヴの夜に夫の不倫相手が現れ、お互いがいかに愛しあってきたかをミフンに向かって早口でまくしたてた。半年後、ミフンたちはソウルから半島の南端に引っ越した。山に囲まれ近くには湖もあり、田んぼが広がる村のはずれ。白いフェンスで囲まれた一軒家。しかし、ミフンはあの一件以来立ち直ることができないでいる。ある日、ミフンは頭痛をおさえる薬をもらいに、近所の個人病院へ行った。「ゲームをしませんか?夏が終わるまでの4ヵ月間。恋人になったつもりで過ごすんです。ルールは1つ。相手に『愛している』と言ったほうが負け。ゲームもそれで終わり」。と若い医者は告げた。台風の大雨が降りはじめた日、彼、インギュがうちの外に車を止めていた。ミフンは思わず外に飛び出して彼の車を追い、二人はホテルへ向かう。彼との他愛のないお喋り。久しぶりに声を上げて笑うミフン。そして二人はもう1度、愛を交わし合う。その時、彼女の人生にふたたび光が射し込んだ。やがて噂が村中に広がる。彼は「人生最後の日は朝から夜まで君と過ごす」とミフンに言った。彼女が何よりも聞きたかった言葉。そして、もうゲームは終わりにしなくてはならないところまで来てしまっていた。