ドッペルゲンガー
(C)2002『ドッペルゲンガー』製作委員会
永井由佳は仕事の帰り道、弟の隆志の姿を見かけて声をかけるが無視された。不審に思いながら自宅に戻ると、そこには隆の姿があった。‘ドッペルゲンガー’という、自分の分身に遭遇すると死ぬという言い伝えを題材に描くサスペンス・スリラー。
- 公開日
- 2003年9月27日(土)
- 監督
- 黒沢清
- 撮影
- 水口智之
- 音楽
- 林祐介
- 製作年
- 2002
- 製作国
- 日本
- 上映時間
- 107
- INTRODUCTION
- ドッペルゲンガー=自分の分身が現れたら死ぬという言い伝えがある。そのドッペルゲンガーに遭遇した男の話だ。本作では、古今東西多くの作家の創作意欲を剌激する題材として、いままでに数多くの文学作品に登場している。本作では、ドッペルゲンガー現象のまったく新しい解釈が試みられている。見たものは死ぬというオカルト的な言い伝えはそのままに、ドッペルゲンガ-を〔もう一人の自分〕といて捉えている。分身だからこそ、相反する性格に憧れやコンプレックスを感じてみたり、分身なんて自己嫌悪が見せた幻だと消えるように念じてみる。そんなコミカルな場面が登場してくるのだ。現実の自分との葛藤。それはひとりの人間の心の中で起こるものだが、それを映像として描くと、本体と分身の二人の闘いが繰り広げられることになる。そんなコミカルさが〔ドッペルゲンガ-〕現像の恐ろしさの裏側に潜んでいる。主演は役所広司。分身が現れてとまどう研究者の早崎と、その分身であるドッペルゲンガーという、難しい二つの役柄を演じきっている。その相手役は永作博美。弟のドッペルゲンガ-に悩みながらも、早崎に好意を寄せる由佳役として、本作で映画初出演を飾る。早崎の研究のためにドッペルゲンガ-に雇われた君島役にはユ-スケ・サンタマリア。特体の知れない役柄でドラマを盛り上げている。そして監督は、前作「アカルイミライ」のヒットとカンヌ国祭映画祭への正式出品で、国内外での人気をより確かなものにした黒沢清監督だ。
- STORY
- 早崎道夫(役所広司)は、メディカル・テック社に務める研究者だ。彼は10年前に開発した血圧計が大ヒットし、次の開発に期待が寄せられている。しかし、取り組んでいる人工人体の開発は思うようにいかず、ストレスを感じる日々を過ごしている。部長の村上(柄本明)からも、予算や進行状況についてうるさく聞かれていたのだ。そんなある日、そっくりの外見を持つ分身〈ドッペルゲンガー〉が早崎の前に現れた。その分身は、早崎に協力するために現れたと言うのだ。研究に疲れている早崎を見かねた分身は、深夜の研究所に忍び込み、めちゃくちゃに荒らしてしまう。そのせいで仕事をクビになり、自暴自棄になる早崎。分身は、研究を続行させるために人工人体を運び出し、新しい助手として君島(ユースケ・サンタマリア)という男を金で雇うのだった。弟の分身に悩む由佳の相談に乗っていた早崎に変わり、分身は由佳の悩みを解消すべく分身の弟を殺してしまう。その上、研究資金調達の為に殺しや盗みまで行い、分身は早崎の影として淡々と暗躍する。そんな二人の間には、いつしか研究の成功を目指す奇妙な協力関係ができていく。由佳の弟はアメリカで小説を書いていると分身に告げられた由佳は、早崎の研究に協力することになった。ついに人工人体が完成。しかし、分身は消えることなく存在する。早崎は、分身につかみかかるが、背後から近づいた君島が鈍器で分身を殴りつける。早崎は君島から鈍器を奪い、ついに分身を殴り殺してしまう。早埼、由佳、君島は、完成した人工人体を売りつける為トラックに乗って出発するのだった。
- CASTING
- ●役所広司 1956年1月1日、長崎県諫早市生まれ。83年大河ドラマ「徳川家康」で織田信長役を好演し脚光を浴び、エランドール新人賞を受賞。『オーロラの下で』(90)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞するなど受賞歴は多数。主な出演作は、『Shall we ダンス?』(96)、『うなぎ』(97)、『失楽園』(97)、『赤い橋の下のぬるい水』(01)、『突入せよ!「あさま山荘」事件』(02)など。 ●永作博美 1970年10月14日、茨城県生まれ。93年「陽のあたる場所」で連続ドラマ初レギュラー出演後、女優としての活動を本格始動する。これまでに連続・単発もあわせて31本のドラマに出演。代表作としては「青い鳥」、「週末婚」がある。 ●ユースケ・サンタマリア 1971年3月12日、大分県生まれ。97年バンド解散後、「踊る大捜査線」にレギュラー出演。TV、ラジオ、CMなどでも活躍。主な出演作は、「ウエディングプランナー」、「アルジャーノンに花束を」、「踊る大捜査線 THE MOVIE2」など。 ●柄本明 1948年11月3日、東京都生まれ。76年、東京乾電池を結成。98年『カンゾー先生』にて日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。主な出演作は『二代目はクリスチャン』、『木村家の人びと』(88)、『Shall Weダンス?』(96)、『うなぎ』(97)など。
- 映倫
- 99