銃殺
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昭和六年。満州事変勃発以来、軍閥は次第に勢力を強め、政治の実権を握っていった。しかし政界、財界には醜悪な疑獄事件が相ついで起り、世相は混乱していた。祖国の将来を憂える、安東大尉以下青年将校達は、指導者矢崎大将を中心に一挙革新の機を伺っていた。これを察知した、永井軍務局長等反対派は、矢崎大将を罷免し、同時に大将の崇拝者、相川中佐をも追いやろうとしたが、却って相川派のために、永井は暗殺された。革新派、指揮官の立場にある安東は、自分達の行動が、事実上天皇の軍隊と対決しなければならないことを憂い、そのために部下を不名誉な叛乱軍の名の下にさらさねばならぬことを恐れて断行に苦しんだ。