ザ・ハリウッド
京都の学生街にあるビデオ店ハリウッドに、アルバイトとしてひとりの少年が入ってきた。次郎である。店には先輩店員として、日本映画をこよなく愛する外国人留学生ロバートが勤めていた。小津安二郎を尊敬するロバート、香港アクションが最高という次郎、ふたりは対立しながらも、奇妙な友情を感じ始める。ふたりはそれぞれ恋をする。謎めいた中国人女性エレナと情熱的な恋に落ちたロバート。一方、次郎は、ビデオの自転車宅配の途中で出会った、鴨川の川辺でクラ リネットを吹く少女に淡い恋心を抱く。そして少しずつ、仕事にも面白さを感じ始めていく。古い時代劇が大好きな老人、佐伯にビデオを届けるうちに、問わず語りに教えられた映画の素晴らしさ。そんな中、事件が起きた。密入国の手引きをしていた疑いでエレナが逮捕される。失意のあまり日本を去って旅に出るロバート。そして佐伯が病に倒れる。