サチコの幸
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昭和26年ごろの新宿二丁目にこんな可愛い天使のような娘がいた。サチコはつらい淋しい日々の中で“いいえ、今にきっといいことがある”と自らにいいきかせて生きていた。親に捨てられたユミコ、ジョージという進駐軍に惚れ抜いているヨシコ、モモエ、みずえ、皆一つの店で精一杯生きていた。その夜も中年男の中田、酔っ払い、早稲田の学生など、サチコの稼ぎは2000円。そんな所へ、母に会いにきたと武彦という青年があがって来た。武彦はただ壁に向かって立っていた。「ボクの母さんはここの女将さんなんです」サチコの肝いりで武彦に向かいあった女将は、武彦を知らぬ存ぜぬで厳しく追い返そうとした。サチコの部屋で、武彦はただ絶望的に泣き伏した。サチコの哀れな武彦を温かく抱きしめるのだった。