お富と切られ与三郎
(C)1957 松竹
師走の一夜、江戸の火の番小屋の老人がしみじみ語る身の上話--ベッ甲問屋の倅与三郎は弟の喧嘩の仲裁に入ったため、かえって難がかかり、木更津の叔父の許へ一時身を預けた。旅立ち前、許婚のお鶴に会えるよう弟の与五郎がはからったが、与三郎は伊豆屋の跡目を弟に譲る決心で、彼とお鶴が結ばれることを願った。木更津で手伝に精出していた彼は、ふとお富を知りそめた。以前深川で左褄をとっていた彼女は、今は土地の親分赤間の妾にされている。そのため、与三郎は赤間から滅多斬にされ海へ投げこまれた。お富も後を追った。