読み書きができないまま大人になり、最愛の妻のためにラブレターを綴る、長年連れ添った夫婦の心温まる実話をもとにした映画『35年目のラブレター』がついに公開した。映画公開の喜びを伝えるべく、主演の笑福亭鶴瓶をはじめ、原田知世、重岡大毅、上白石萌音たちキャストたちと主題歌を書き上げたシンガーソングライターの秦 基博、そして塚本連平監督が劇場に集まった。

映画上映後、感動の余韻に浸る観客の前に現れた西畑保役・鶴瓶は「あっという間に封切りを迎えたのですが、早いですよね。(公開が)来てほしくない、終わらんといてほしいという気持ちです。今日お客さんは観ていただいた後だからわかると思いますがいい映画ですよね。一回二回だけではなく三回、四回と観に行っていただきたいと思ってます」と挨拶し、その妻、皎子を演じた原田も「こんな素敵な作品に参加させていただいたことを本当に心から幸せに思ってます。多くの方に届くようにという気持ちでいっぱいです」と公開を迎えた喜びを伝えた。


若かりし頃の西畑夫婦を演じたのは重岡大毅と上白石萌音。重岡は「この作品を劇場で観ていただいて、本当にありがとうございます。沢山の方に観てほしいなとめちゃくちゃ思ってた作品なので、今日は楽しみにしてきました」と感謝を伝え、上白石は「私も公開日が来てほしいような、来てほしくないような気持ちだったのですが…撮影中や取材日、舞台挨拶とかでこの作品のことを考えるだけで幸せな気持ちになっていましたし、みんなで集まった時のほっこり感も大好きで幸せだったのですごく寂しいです」とコメントし、さらに「誰よりも寂しいのはもうしばらく知世さんに会えない鶴瓶さんじゃないのかなと思ってます」と会場を笑わせ、鶴瓶も「その通りです」と同意を見せた。


「映画を観終わって温かい気持ちになって、誰かにありがとうと言えるよるような映画になるといいなと思って作ってきました」と語る塚本連平監督からは、自身の奥さんが実在する西畑保さんのエピソードを偶然TVで目にし、そのエピソードを塚本監督に伝えたことが本作誕生のきっかけであることも明かし、「うちの妻と子供たちにも“ありがとうさん”と言いたいです」と映画で皎子が度々使う感謝の言葉にならい、そばで支えていた家族への感謝も伝えた。

キャストたちに今日の公開を迎えた気持ちを改めて伺うと鶴瓶は「このメンバーとまた会えて皆さんともお会いできてすごく嬉しいんですけど、すごくいい本(脚本)ですよね。監督が全部書かれて、ようあんなん書いたなと思うんですけど」と監督を絶賛。原田も「ちょうど去年の今日は、西畑家のセットの最終日の日でした。」と一年前の撮影時のことを振り返る。「その時に一年後には公開されてると思ってどういう風になるのかなと思ってました。現場はすごく和やかでいい映画に仕上がるんだなと思っていました。私は監督を信じて、ついてきて本当に素晴らしい景色を見せてもらえたと思いますし、そういう意味では監督の奥様にも感謝ですね」と感謝のコメントを零した。

重岡は「自分もありがとうと言いたくなる映画だなと思いました。今監督がご家族の方に言っているのを聞いて、誰かが言っているのを聞くのもいいなと思うというか…この気持ちの連鎖がもっと日本全国に起きるといいなと思ってます」とコメント。鶴瓶も「二人の関西弁、めちゃくちゃいいよな」と関西弁での演技に挑戦した原田と上白石をほめると二人から「ありがとうさん」と感謝が飛び交いご満悦の笑顔を浮かべる鶴瓶。上白石も「この映画が実話だということが何よりもうれしいです。西畑さんが私たちと同じ今を生きていらっしゃることが嬉しい」と映画の好きなポイントを伝えた。

そして本イベントでは、映画の公開前に全国各地で実施した試写会から届いた、温かい気持ちのこもった感想がバックパネルに集められており、「家族の優しさを感じ、笑いあり涙ありでハンカチなしでは見られませんでした。この春一番素敵な映画だと思います。」という感想に対して、鶴瓶は「嬉しいです。うちの嫁も昨日観てきて、すごくよかったって言うんです。そんなこと普段言わないんですよ、あんまり。嬉しかったです。」と自身の夫婦のエピソードにつなげた。
原田は「大切な人の為に努力する事はこんなにも愛に溢れているのだと感じました。」という感想を受けて「皎子さんはもともと情に深い人なんだと思うけど、保さんと出会ってとにかく力になってあげたいと自然とどんどん湧きあがってきた、努力ということではない単純に心が動いたというか、それが愛になったということなのかなと思ってます。私も鶴瓶さんの隣にいて、ただ見つめて横にいるというかそばにいるだけというのを撮影中にしていましたけど、私も自然に鶴瓶さんのために何かできることはないかなと思っていました。それがすごく皎子さんと保さんに近づいていったのかなと。鶴瓶さんの演じる保さんがいたから皎子さんになれたのだと感じています。」と慈愛の妻、皎子に通じる言葉を残した。
苦労を重ねた若かりし頃の保を演じた重岡には「何歳になっても何かにチャレンジする事の大切さを学ばせて頂けました。」という感想が紹介され、「僕もそこを学ばせていただいて、最初この脚本をいただいた時にこの映画のメッセージである何歳になっても遅いということは無いということに、僕もそう信じてるつもりです。ずっとやりたかったこととか、心残りなことにチャレンジするってすごく力がいることだし、この役を通じてその先にある何かを一緒に見つける感覚でこの映画に参加させていただいて、この作品に出合えて本当に感謝してます。ありがとうさん」と感謝した。
続く上白石は「10回泣いて、10回笑いました。観た後は絶対に大切な人に会いたくなります。」という感想に対して、「私も映画を観たとき笑ってるのか泣いているのかわからないくらい色々な感情になったんですけど、この映画を観終わった後に誰かの顔が浮かぶのってすごく幸せなことですよね。思い浮かべた後にそれだけじゃなく、ぜひ思いを伝えてほしいなと思います。生きてればいろいろなことがありますけど、なるべく人のいい面、“ええとこ”をみて生きていきたいな、そうしたら大きな愛に出会えるんだということを教えてくれる映画だなと思います。私も知世さんと一緒で、ただただ(重岡の)横にいて隣にいるだけで皎子さんになれて、台本に書かれている文字だけでなく心の底から気持ちが出てくるようになったのでそれは本当にシゲちゃんのおかげだって思って…ありがとうさん!」と演じた皎子と映画への想いと共に重岡に感謝の気持ちを伝えた。

さらに、繊細なメロディと優しい歌声で作品を温かく包み込む主題歌「ずっと作りかけのラブソング」を書き上げた秦 基博には「秦さんの優しい歌声とともに、シーンを振り返りながらエンドロールを見終わると、心の中は温かさで溢れて、この作品に出会えてよかったという気持ちでいっぱいです。」といった楽曲への感想が届き、「この映画が持っている温かさとか映画を観終わったときにじんわり胸に迫るようなものをそのまま持って帰ってもらいたくて、そう思っていただけているならうれしいですね。ラブレターを書くということが、文字を書ける書けない以前に、胸にあるものを形にするってことってすごく難しいことだと思ってて、歌を作ることと似ているのかなと思いました。映画と出会えたことで僕もこの曲と出会えました」と作曲とラブレターとの共通点について答えた。キャストたちからも主題歌について絶賛の言葉が次々と寄せられ秦も「それだけで泣きそう」とコメント。

最後に西畑夫妻を演じた鶴瓶、原田から「映画をご覧になったみなさんと一人一人ずつ感想を聞きたいなと思う作品です。この作品がご自身の家族、友達、そして愛する人…大切な方々に感謝の気持ち“ありがとうさん”を伝えるきっかけになるといいなと思ってます。多くの人に届いてほしいです」と、鶴瓶からは「僕は52歳から落語を始めたんですよ。やれるかなと思っていたんですけと、やれるんですよね、50歳を過ぎてからでも自分がそういうスイッチを入れたら。ぜひこの映画をきっかけに何かを始めていただきたいです。何回でも映画を観て自分の肥やしにしてほしいです。本当にありがとうございます」とそれぞれメッセージが寄せられ、登壇者の“ありがとう”の気持ちに満ちたイベントは終了した。
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